大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟地方裁判所柏崎支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人を懲役四月及び罰金参万円に処する。

但し本裁判確定の日から参年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納しないときは金弐百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(事実)

被告人は昭和二十四年六月二十六日の柏崎市東学校町所在柏崎小学校講堂で前進座の「種まき三番叟」外二幕の演劇を開催するに際し、新潟県知事宛にその開催申告をして入場税特別徴収義務者となつたものであるが、右演劇は一人当り六十円以上の金銭支出者を入場させて開催されたのであるから、被告人は当該催物の入場者から夫々右六十円を基準とした入場税を徴収する義務があるのに当日この催物の入場者合計千四百六十六人から入場料金一人当六十円、合計して八万七千九百六十円に対する入場税四万三千九百八十円を徴収せず、且納入しなかつたものである。

(証拠)(省略)

被告人及び弁護人は判示公演は共産党の資金カンパの為之に応募してくれた者に対し謝礼の意味で開催したもので、共産党の文化活動の一つであつて、営利を目的としたものでないから入場税の課税対象にならない。従つて地方税法違反にはならない旨主張するが、之の点に関する証明もなく、前掲証拠によれば単に其の名を前掲の通り被告人及弁護人が其の主張の如く共産党の資金獲得の寄付に藉つたに止まり、その実質は本件公演を催した場所への観覧のための入場の対価と解するを相当とする。

法律に照すに被告人の判示所為は地方税法(昭和二十三年七月七日法律第百十号)(以下旧地方税法という)第三十六条第七十五条、第七十六条、第百三十六条第二項、新潟県税賦課徴収条例(昭和二十三年八月二日新潟県条例第二十一号)第三条第六十五条第六十六条第百七十一条に各該当し、裁判時法なる地方税法(昭和二十五年七月三十一日法律第二百二十六号)(以下新地方税法という)によれば同法に於て入場税の徴収及び納入の手続について新たに規定が設けられ、この入場税に係る脱税の罪の規定が設けられたのであるから入場税不徴収不納入に関する刑の変更があつたものと解すべきも、新地方税法附則第三項によれば旧地方税法の規定に基いて課し、又は課すべきであつた入場税については昭和二十五年八月三十一日以前の分については旧地方税法の規定により又その第四項によれば新地方税法施行前にした行為に対する罰則の適用についてはなお従前の例によるとあるから、旧地方税法第百三十六条第三項により懲役刑及び罰金刑を併科した夫々の刑期罰金額の範囲内に於て被告人を懲役四月及び罰金参万円に処し、但し被告人に対しては懲役刑の執行を猶予すべき情状あるにつき刑法第二十五条を適用して本裁判確定の日より参年間右刑の執行を猶予することとし、右罰金を完納しないときは刑法第十八条に則り金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとし、訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第百八十一条第一項により全部被告人をして負担せしむべくよつて主文の通り判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!